「ゲイシャコーヒーって、ほかの豆より何倍も高い。この値段は本当に妥当なの?」
通販やカフェでゲイシャコーヒーを見つけて、ほかのコーヒー豆との値段の差に驚いた人は多いでしょう。
ゲイシャは一般的なスペシャルティコーヒー(産地や品質の評価が高いコーヒー)より高く、同じゲイシャでも産地・農園・ロットで価格に大きな幅があります。高い理由と幅が出る理由がわかれば、目の前の値段が妥当かを自分で判断できるようになるはずです。
札幌で注文ごとに焙煎しているKOTARO COFFEEが、ゲイシャコーヒーの値段の比べ方から損をしない買い方まで、作り手の目線でまとめました。
ゲイシャは袋の値段だけで選ばず、1杯あたりの価格と焙煎日を確かめてから少量で好みを試すと、失敗しにくくなります。
ゲイシャコーヒーの値段の目安は?一般的なスペシャルティより高く幅も大きい
ゲイシャの値段が妥当かは、100gあたりと1杯あたりに直し、同じ条件のゲイシャ同士で並べると判断できます。ゲイシャは容量も産地もロットもばらばらで、店や入荷時期によっても値段が変わるため、1つの相場の数字だけでは目の前の商品が高いか安いかを決められないからです。
たとえば、見つけたゲイシャと同じ産地で「ゲイシャ100%」「通常ロット」の商品を、ほかの通販サイトで3件ほど探して100gあたりに直します。並べた中で極端に高いか、真ん中あたりかを見れば、相場より高い店で買おうとしていないかがわかるでしょう。ふだん買っている豆の100gあたりの値段も一緒に書き出しておくと、ゲイシャがいつもの何倍になるのかもつかめます。
まずは見つけた商品の値段と容量をメモし、次の2つの方法で数字をそろえてください。
それぞれ詳しく解説していきます。
豆の値段は100gあたりに直して比べる
ゲイシャの値段を比べるときは、まず100gあたりの価格に直しましょう。ゲイシャは200g・100g・50g・40gなど容量がばらばらで、袋の値段だけを並べると、安く見える商品が実は割高ということが起こるからです。
仮に50gで2,000円の豆なら100gあたり4,000円、200gで6,000円の豆なら100gあたり3,000円になります。袋の値段が高い200gのほうが、実は割安です。
カフェの1杯は、豆代に抽出の手間や席の代金が加わった値段といえます。豆と比べるなら、次に紹介する1杯あたりの換算が欠かせません。
袋の値段ではなく100gあたりの値段で比べれば、割高な商品を選ばずに済みます。
豆の値段を1杯あたりに換算する計算方法
1杯あたりの値段は「豆の値段÷容量(g)×1杯の粉量(g)」で計算できます。豆の値段を1gあたりに直し、1杯に使う粉の量を掛ければ、家で淹れる1杯の豆代になるからです。
ハンドドリップで1杯(約200ml)に使う粉の量は、器具や豆、焙煎度、好みで変わります。下の表は10〜15gの場合の例なので、くわしくは使っている器具や豆の販売店の案内を確かめてください。ここでは計算しやすいように、仮に100gで3,000円の豆として計算してみます(実際の相場を示す数字ではありません)。
| 1杯の粉量 | 計算式 | 1杯あたりの豆代 |
|---|---|---|
| 10g | 3,000円÷100g×10g | 300円 |
| 12g | 3,000円÷100g×12g | 360円 |
| 15g | 3,000円÷100g×15g | 450円 |
手元の商品の値段と容量を式に入れれば、家で淹れる1杯の豆代が出ます。カフェのゲイシャと比べたいときは、店のメニューにある1杯の値段とこの豆代を並べてみてください。ドリップバッグは1袋が1杯分なので、セットの値段を袋の数で割るだけで1杯の値段が出ます。
1杯あたりに直すと、袋の値段よりも身近な数字でカフェやふだんの豆と比べられます。
ゲイシャコーヒーの値段が高い4つの理由
ゲイシャが高いのは、育つ場所が限られ、手間がかかり、そのうえ世界中で求められているからです。主な理由は次の4つになります。
それぞれ詳しく解説していきます。
育つ場所が標高の高い限られた環境に限られる
ゲイシャが高い1つ目の理由は、香りを十分に出せる産地が限られることです。ゲイシャの花のような香りは、標高が高く昼と夜の寒暖差が大きい土地で実がゆっくり熟したときに出やすく、低い土地で育てても同じ香りにはなりません。
栽培に向く土地そのものが少ないため、ほかの品種のように生産量を増やせません。
香りが出る場所でしか育てられないことが、ゲイシャの希少性と価格の土台です。
収量が少なく栽培に手間がかかる
ゲイシャは1本の木からとれる実が少なく、育てる手間も多い品種です。木が細長く伸び、枝と枝の間隔が広いため、同じ面積の畑でも実のつく量がほかの品種より少なくなります。
さらに病気に弱い面もあり、生産者は木の状態をこまめに見ながら管理しなければなりません。少ない収穫量に多くの手間がかかるので、1kgあたりの生産コストが高くなるわけです。
収量の少なさと管理の手間が、そのまま生豆の価格に上乗せされています。
手摘みと丁寧な精製で人手がかかる
ゲイシャの多くは、完熟した実だけを手で摘み取り、時間をかけて精製(実から種を取り出して乾かす工程)を行います。未熟な実や傷んだ実が混ざると、ゲイシャの持ち味である繊細な香りがすぐに濁ってしまうからです。
熟した実を選んで何度も畑を回るため、人件費もかさみます。収穫後の選別・発酵・乾燥の管理に手をかけるほど品質は上がり、価格も上がるのがゲイシャの特徴です。
人の手で品質を守る工程が多いほど、ゲイシャの値段は高くなります。
2004年のBest of Panamaで評価され需要が一気に高まった
ゲイシャの値段が大きく上がったきっかけは、2004年の品評会「Best of Panama」でした。パナマのエスメラルダ農園が出品したゲイシャが、ジャスミンや柑橘のような香りで高く評価され、オークションで当時の常識を超える価格がついたのです。
ゲイシャはもともとエチオピアのゲシャ(Gesha)地域が原産で、中米へ渡ってからも長く注目されていませんでした。2004年を境に世界中のバイヤーが求めるようになり、需要が供給を大きく上回ったことで、いまの価格帯が定着しています。
少ない供給に世界中の需要が集まったことが、ゲイシャを高級コーヒーの代表にしました。
同じゲイシャでも値段に差が出る5つの要因
同じ「ゲイシャ」の名前がついていても、値段が数倍違うことは珍しくありません。差を生む主な要因は次の5つです。
- 産地:パナマ・エチオピア・コロンビアなどで値段が変わる
- 農園とロットの評価で値段が変わる
- 精製方法:ウォッシュド・ナチュラル・特殊プロセス
- オークションロットか通常ロットか
- ゲイシャ100%かブレンドか
それぞれ詳しく解説していきます。
産地:パナマ・エチオピア・コロンビアなどで値段が変わる
ゲイシャの値段は、どの国で育ったかで大きく変わります。パナマ産は品評会での実績とブランド力があり、ゲイシャの中でも価格が上がりやすい産地だからです。
一方、エチオピア・コロンビア・コスタリカなどのゲイシャには、比較的手に取りやすい価格の商品もあります。どのくらい差があるかは商品ごとに違うので、同じ店でパナマ産とほかの産地のゲイシャを100gあたりに直して比べてみてください。香りの出方も産地で変わり、エチオピアは花の香りが繊細に、中南米は果実の甘さがはっきり出る傾向です。
パナマ産以外のゲイシャは、産地ごとの個性を楽しみながら値段を抑えられる選択肢といえます。
値段の差を見るときは、まず産地の表記から確かめましょう。
農園とロットの評価で値段が変わる
同じ国のゲイシャでも、どの農園のどのロットかで値段は変わります。ロットとは、同じ区画や同じ時期に収穫・精製された豆のまとまりのことです。
有名農園の豆や、品評会で高い点数を得たロット、区画を細かく分けた少量ロットは価格が上がります。農園名やロット名まで書かれた豆ほど、生産の履歴をたどれる分だけ評価も値段も高くなるのが一般的です。
同じ農園の豆でも、収穫時期や日本に届いた時期で香りの出方は変わるでしょう。ラベルの収穫年や入荷時期も、値段と一緒に見ておくと安心です。
農園とロットの情報は、値段の理由を確かめる手がかりになります。
精製方法:ウォッシュド・ナチュラル・特殊プロセス
精製方法は、ゲイシャの値段と味の両方を左右する要素です。ウォッシュドは果肉を水で洗い流す方法で、すっきりした透明感のある香りになります。
ナチュラルは実ごと乾燥させる方法で、果実のような甘さが強く出るでしょう。アナエロビックのように酸素を断って発酵させる特殊プロセスは、管理の手間と失敗のリスクが大きいため値段が上がりやすい方法です。
特殊プロセスには、精製の途中で果物などと一緒に漬け込み、香りを移すインフューズドもあります。同じ産地でも精製が違えば風味の方向が大きく変わるので、表記を見比べてみてください。
精製方法の表記は、値段と好みの両方を判断する材料です。
オークションロットか通常ロットか
オークションで落札されたゲイシャは、通常のゲイシャとは桁が違う値段になることがあります。品評会の上位ロットは量が少なく、世界中のバイヤーが競り合って価格が決まるからです。
一般に流通しているゲイシャの多くは、オークションを通さない通常ロットにあたります。ニュースで見る「世界一高いコーヒー」の価格は、オークションロットの話です。
表記に「オークション」「品評会」とあれば、通常ロットとは別物として比べましょう。
オークションかどうかを確かめれば、極端に高い値段にも納得がいきます。
ゲイシャ100%かブレンドか
「ゲイシャブレンド」「ゲイシャ入り」と書かれた商品は、ゲイシャ以外の豆を混ぜているため手頃な値段になっています。ゲイシャの割合が少ないほど価格は下がり、香りの華やかさも控えめになるでしょう。
一方、産地や農園まで書かれたシングルオリジン(1つの産地・農園の豆だけを使ったもの)のゲイシャは、基本的にゲイシャ100%です。値段が安いと感じたら、まずブレンドかどうかの表記を確かめます。5つの要因をまとめると、次のとおりです。
| 要因 | 値段が上がりやすい | 手頃になりやすい |
|---|---|---|
| 産地 | パナマ | エチオピア・コロンビア・コスタリカなど |
| 農園・ロット | 有名農園・品評会ロット・少量ロット | 農園やロットの指定が少ない豆 |
| 精製方法 | アナエロビックなどの特殊プロセス | ウォッシュド・ナチュラル |
| 流通 | オークションロット | 通常ロット |
| 配合 | ゲイシャ100% | ゲイシャ入りブレンド |
5つの要因を表記で確かめれば、同じゲイシャでも値段が違う理由が見えてきます。
安いゲイシャは損?高ければおいしい?値段と満足度の関係
安いゲイシャが、それだけで損というわけではありません。値段が手頃なのは、産地・ロット・ブレンドかどうかの違いによることが多いからです。
ほかより明らかに安いと感じたら、「ゲイシャ100%か、ブレンドやゲイシャ入りか」「産地・農園・ロットが書かれているか」を確かめましょう。表記が少なくて判断できない商品は、買う前に販売店へ問い合わせると安心です。
ただし、高い豆を買えば誰でも満足できるわけではない点には注意しましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
花や果実の香りが好みでなければ値段に見合わない
ゲイシャの値段に見合う満足感が得られるかは、花や果実の香りが好きかどうかで決まります。ゲイシャの持ち味はジャスミンのようなフローラルな香り、柑橘やベルガモット(紅茶のアールグレイの香りづけに使われる柑橘)、白桃のような果実感、紅茶のように軽い口当たりで、苦味やコクとは方向が違うからです。
深煎りの苦味やどっしりしたコクが好きな人には、高いゲイシャが薄く物足りなく感じられます。値段の高さと自分の好みは、別の物差しで考えましょう。
酸味がはっきりした浅煎りをおいしいと感じる人なら、ゲイシャの香りを存分に楽しめるはずです。
好みに合うかどうかが、ゲイシャの値段を高いと感じるか安いと感じるかを分けます。
高い豆でも焙煎日と焙煎度で香りの出方が変わる
高いゲイシャでも、焙煎日と焙煎度が合っていなければ値段に見合う香りは出ません。ゲイシャの花のような香りは浅煎り〜中煎りで出やすく、深く焼くと苦味に隠れて消えてしまうからです。
焙煎から日が経つほど、華やかな香りは抜けていきます。作り手から見ても、繊細な豆ほど火の入れ方で香りの残り方が変わるので、焙煎日と焙煎度は値段と同じくらい大事な表記です。
値段の高い豆ほど、袋や商品ページで焙煎日と焙煎度を確かめてから買いましょう。焙煎度が書かれていなければ、味の説明に「花」「柑橘」などの言葉があるかを見るか、販売店に焙煎度を問い合わせてください。
ゲイシャが値段に見合う一杯になるかは、豆の質だけでなく焙煎で決まるのです。
値段で損をしないゲイシャコーヒーの選び方・試し方
ゲイシャで損をしないコツは、目的に合った形で買い、少量から好みを確かめることです。具体的には次の2つを押さえましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
目的別に選ぶ:豆・ドリップバッグ・少量パック・カフェの1杯
ゲイシャは、飲む場面と目的に合わせて商品の形を選ぶと損をしません。同じゲイシャでも、豆・ドリップバッグ・カフェの1杯では、1杯あたりの値段と手軽さが大きく違うからです。
| 形 | 向いている人・場面 | 値段の見方 |
|---|---|---|
| 豆・粉 | 家で何杯も楽しみたい | 100gあたり・1杯あたりで比べる |
| ドリップバッグ | 1杯ずつ試したい・贈り物 | セットの値段÷袋の数 |
| 少量パック | 初めて試したい | 割高でも合わなかったときの損が小さい |
| ゲイシャ入りブレンド | 手頃に雰囲気を知りたい | ゲイシャの割合を確かめる |
| カフェの1杯 | 淹れ方を気にせず味を知りたい | 抽出の技術と場所代を含む |
贈り物にするなら、相手がドリップの道具を持っていない場合はドリップバッグが無難です。どの形でも、焙煎日が新しいものを選ぶと喜ばれやすくなります。
目的に合った形を選べば、同じ予算でもゲイシャの満足度は大きく変わるでしょう。
焙煎日が新しい浅煎り〜中煎りを少量から試す
初めてゲイシャを買うなら、焙煎日が新しい浅煎り〜中煎りを少量から試すと失敗しにくいでしょう。ゲイシャの香りは鮮度と焙煎度に左右されやすく、いきなり高いパナマ産を大量に買うと、好みに合わなかったときの損が大きいからです。
少量パックは100gあたりでは割高になりがちですが、合わなかったときに払う金額そのものは小さく済みます。袋に焙煎日が書かれた豆や、注文を受けてから焙煎して送る店を選びましょう。焙煎日から何日ほどが飲み頃かは豆や焙煎度で変わるので、販売店の案内を確かめてください。ゲイシャの前に、エチオピアなど華やかな浅煎りのシングルオリジンや飲み比べセットで、花や果実の香りが自分の好みかを確かめておくと失敗しません。
好みに合うとわかってから、農園やロットにこだわった高いゲイシャへ進むのがおすすめです。
少量と鮮度にこだわる買い方が、ゲイシャで損をしないいちばんの近道でしょう。
華やかな浅煎りを焙煎したてで試すならKOTARO COFFEEにお任せ
KOTARO COFFEE ROASTERは、北海道札幌を拠点にする、実店舗を持たない焙煎所(ファントムコーヒーロースター)です。注文を受けてから焙煎し、全国へ送料無料で直送しています。
「ゲイシャを買う前に、華やかな浅煎りが自分に合うか確かめたい」「高い豆を買ったのに香りが抜けていたら困る」という方は、焙煎したての浅煎りから試してみてください。
オンラインショップには浅煎りから深煎りまで全6〜10種類ほどの豆をそろえています。ゲイシャの取り扱いは時期で変わるため、商品ページで確かめてください。2台の焙煎機で焼いた豆を比べられる焙煎機違いの飲み比べセットやドリップバッグコーヒー、焙煎の記録をまとめたプロファイルシート付きの焙煎定期便(45g・月1種類)なら、少量から好みを確かめられます。
焙煎は、日本・韓国・ベトナムの3か国同時焙煎大会「Japan Roasting Winner Cup 2024」Innovative部門で日本9位に入賞した店主が担当しています。豆選びに迷ったら、オンラインショップから気軽にご相談ください。
ゲイシャコーヒーの値段に関するよくある質問
まとめ
ゲイシャコーヒーは一般的なスペシャルティコーヒーより高く、同じゲイシャでも値段に大きな幅があります。値段は100gあたり・1杯あたりに直して比べましょう。
- 高い理由:育つ場所の少なさ・収量の少なさ・手摘みと精製の手間・2004年以降の需要の高まり
- 値段の差:産地・農園とロット・精製方法・オークションかどうか・ゲイシャ100%かブレンドか
- 満足度:値段より、香りの好み・焙煎日・焙煎度で決まる
見つけたゲイシャが高いか迷ったら、次の順で確かめてみてください。
- 値段を100gあたり・1杯あたりに直す
- 産地・ゲイシャ100%かブレンドか・オークションロットか・焙煎日と焙煎度を表記で確かめる
- 同じ条件のゲイシャをほかの店で3件ほど探し、100gあたりで並べる
- 初めてなら、焙煎日が新しい浅煎り〜中煎りを少量やドリップバッグで試す
値段の理由を知り、少量から好みを確かめれば、ゲイシャの一杯に納得してお金を払えます。