「バニラの香りのコーヒーを見かけたけれど、甘いのか、普通のコーヒーと何が違うのか分からない」
輸入食品店の棚やハワイ土産で、バニラマカダミアやヘーゼルナッツと書かれたコーヒーを見かけることがあります。
フレーバーコーヒーとは、焙煎後のコーヒー豆にバニラやナッツなどの香料で香りをつけたコーヒーです。甘いのは香りだけで、砂糖は入っていません。
一方で、スペシャルティコーヒーの商品ページにある「ベリー」「チョコレート」といった表記は、香料ではなく豆そのものの風味を指します。札幌の焙煎所KOTARO COFFEEが、作り手の目線でまとめました。
甘い香りを手軽に楽しみたいなら香料付きを少量から、豆本来の香りを知りたいなら浅煎り〜中煎りのシングルオリジンから選ぶと失敗しにくくなります。シングルオリジンは、1つの国や農園でとれた豆だけを使ったコーヒーを指します。
フレーバーコーヒーとは|焙煎後の豆に香料で香りをつけたコーヒー

フレーバーコーヒーは、焙煎した豆の表面に香料をまとわせ、飲む前から甘い香りが立つように仕上げたコーヒーです。
香りは甘いが砂糖は入っていない|味とカロリーの特徴
フレーバーコーヒーの甘さは香りによるもので、豆に砂糖は加えられていません。香料は香りを足すための材料で、甘みやカロリーをほとんど持たないからです。
口に含むと、鼻に抜ける香りはバニラやキャラメルのように甘く感じます。ところが舌で感じる味は、苦味と酸味のある普通のブラックコーヒーと変わりません。物足りなければ、ミルクやはちみつで香りに合った甘さに近づけられます。
カロリーはブラックなら100mlあたり約4kcalで、香料のないコーヒーとほぼ同じです。ただし缶やペットボトルのリキッド、スティックタイプのインスタントには、砂糖や乳成分を加えた商品もあります。
焙煎後の豆に香料をまとわせる作り方
フレーバーコーヒーの香りは、焙煎を終えて冷ました豆に香料をからめて作ります。焙煎前に香りをつけないのは、焙煎の高い熱で香りが飛んでしまうからです。
作り方の流れは次のとおりです。
- 生豆を焙煎し、粗熱を取る
- 液体の香料を、豆の重さに対して少量加える
- 回転する容器で混ぜ、豆の表面に香りを均一にまとわせる
- 袋に詰めて香りを閉じ込める
香料は豆の表面にのっているので、開封後は時間とともに香りが抜けていきます。香りを楽しめる期間は普通の豆より短いと考えて、早めに飲み切るのが基本です。何日で飲み切ればよいかは商品ごとに違うため、袋の賞味期限や販売店の案内で確かめてください。
フレーバーコーヒーの主な種類と香りの特徴

フレーバーコーヒーの香りは、バニラ系・ナッツ系・お菓子系・スパイス系・フルーツ系に大きく分かれます。
| 種類 | 香りの特徴 | 合う飲み方 |
|---|---|---|
| バニラ | 甘くまろやかで、焼き菓子のような香り | 温めたミルクを入れてカフェオレに |
| ヘーゼルナッツ | ローストしたナッツのような香ばしい香り | ブラックでクッキーと一緒に |
| マカダミア | クリーミーで穏やかなナッツの香り。ハワイ土産ではバニラと合わせたバニラマカダミアが定番 | ブラックでもミルク入りでも |
| キャラメル | 焦がし砂糖のような甘くほろ苦い香り | ミルクとはちみつを足して |
| チョコレート | カカオのような甘くほろ苦い香り | ミルク入りでチョコ菓子と |
| シナモンなどのスパイス | すっきりした甘さと温かみのある香り | ブラックでアップルパイと |
| ベリー・オレンジなどのフルーツ | 甘酸っぱく華やかな香り | ブラックやアイスコーヒーで |
初めて選ぶなら、ミルクとも合わせやすいバニラやヘーゼルナッツが入りやすい香りです。フルーツやスパイスの香りは好みが分かれやすいので、2つ目以降に試すと失敗が少なくなります。
フレーバーコーヒーと間違えやすいコーヒーとの違い

「フレーバー」という言葉は、香料付きのコーヒーにも、豆本来の風味を表すときにも使われます。最近は、精製の段階で果物などを加えるインフューズドコーヒーも見かけるようになりました。精製とは、収穫したコーヒーの実から種を取り出し、焙煎前の生豆に仕上げる工程のことです。
3つの違いは、香りの出どころと加える時期で整理できます。
| 比べる点 | フレーバーコーヒー | スペシャルティの「フレーバー」 | インフューズドコーヒー |
|---|---|---|---|
| 香りの出どころ | 香料 | 豆そのもの(産地・品種・精製・焙煎) | 生豆と一緒に漬け込んだ果物や酵母など |
| 香りを加える時期 | 焙煎の後 | 加えない | 生豆を精製する段階 |
| 原材料表示 | コーヒー豆、香料 | コーヒー豆のみ | コーヒー豆のみの表示が多く、表示だけでは見分けにくい |
| 味の傾向 | お菓子のような甘い香りが強い | 果物や花、ナッツに似た香りが豆ごとに出る | コーヒーとは思えないほど果物の香りが濃い |
スペシャルティコーヒーの「フレーバー」は豆本来の風味
スペシャルティコーヒーの商品ページにある「ベリー」「チョコレート」などの表記は、香料ではなく豆そのものが持つ風味です。産地の気候や品種、精製方法、焙煎によって、果物や花に似た香りが生まれるからです。
KOTARO COFFEEが扱ってきた産地なら、エチオピアはジャスミンのような花の香りや柑橘が出やすい傾向にあります。ケニアはベリーやカシス、コロンビアはキャラメルや赤い果実の甘さを感じやすいでしょう。どれも原材料表示は「コーヒー豆」だけで、香料は使っていません。
フレーバー表記は「この豆を飲むと、こんな香りを感じやすい」という味の目安です。果物の味がそのまましたり、香料のような甘い香りが立ったりするわけではありません。
インフューズドコーヒーは精製の段階で香りを加える
インフューズドコーヒーとは、生豆を精製・発酵させる段階で、果物や酵母などを一緒に漬け込んで香りを移したコーヒーです。
当店でもインフューズドの豆は毎年扱っていて、桃とワイン酵母を生豆と一緒に漬け込んだものや、イチゴを漬け込んだものがありました。実をつけたまま乾かす「ナチュラル」や、果肉を取り除き水で洗ってから乾かす「ウォッシュト」といった一般的な精製方法とは明らかに違い、コーヒーとは思えないフレーバーが感じられます。
賛否が分かれるコーヒーですが、当店はこれも生産者の工夫の1つと考えています。ただ、生豆の代理店の中には漬け込んだことを伝えずに卸す所もあり、店側が知らないまま普通の豆として売られるケースもゼロではありません。インフューズドかどうか知りたいときは、商品説明の精製方法の欄を見るか、購入前に販売店へ問い合わせてください。
フレーバーコーヒーのおいしい楽しみ方

フレーバーコーヒーは、まずブラックで香りを確かめてから、足すものを決めると好みの飲み方が見つかります。香りの系統によって、相性のいい材料が違うからです。
ミルク・はちみつ・シナモンで手軽にアレンジ
家で手軽に楽しむなら、ミルク・はちみつ・シナモンを足すだけで十分です。
- バニラやキャラメル系には、温めたミルクを同量ほど注いでカフェオレに
- ナッツ系は、はちみつを小さじ1ほど溶かすと香ばしさと甘さがなじむ
- チョコレート系にホイップクリームをのせ、シナモンをひと振りしてカフェモカ風
- フルーツ系はブラックのまま、チョコレートや焼き菓子と合わせて
大人向けには、ラム酒やコーヒーリキュールを小さじ1ほど垂らす飲み方もあります。甘さを足すのはブラックで香りを一度味わってからにすると、豆ごとの香りの違いを見失いません。
普段のコーヒーにスパイスを合わせて香りをつける
挽いた粉に香辛料を少し混ぜて淹れれば、香料付きの豆がなくても家で香りのいいコーヒーが作れます。お湯を注いだとき、香辛料の香りがコーヒーと一緒に抽出されるからです。
目安は、粉10〜12gに対してシナモンパウダーひとつまみです。カルダモンなら1粒を軽くつぶし、粉の上にのせてからドリップします。入れすぎると香辛料がコーヒーの味より前に出るので、少なめから足していくのがコツです。
湯温は中煎りなら90℃前後から始めると、香りと苦味のバランスがとりやすくなります。合う温度は豆や焙煎度で変わるため、普段の淹れ方を基準に調整してください。
フレーバーコーヒーを買う・淹れるときの注意点

フレーバーコーヒーは、香りが器具に移りやすく、空気に触れると抜けやすいコーヒーです。買う前と淹れる前に、次の3点を押さえておきます。
- 豆を家のミルで挽くと香料の香りがミルに残り、次に挽く普段の豆にも移ることがある。避けたいなら粉で買うか、ミルを分ける
- 香りが飛びやすいので、飲み切れる量だけ買い、袋の空気を抜いて密閉する
- 香りの強さや香料らしい香りは好みが分かれるため、初回は少量にしておく
ドリッパーやコーヒーメーカーも使った後は丁寧に洗っておくと、次に淹れるコーヒーに香りが残りにくくなります。体への影響が気になる場合は、袋に書かれたメーカーの問い合わせ窓口で確かめましょう。
淹れ方の基本は、普通の豆と変わりません。豆とお湯の量を量り、抽出時間をそろえて淹れることが、香りを毎回同じように出すコツです。当店で扱ったピーチの香りのインフューズド豆も、淹れ方をよく聞かれ、そのたびに量と時間をしっかり計る方法をお伝えしてきました。
自分に合うフレーバーコーヒーの選び方

フレーバーコーヒーが向いているのは、甘い香りを手軽に楽しみたい人や、ミルクやおやつと合わせて気分を変えたい人です。豆本来の味を知りたい人には、香料を使わずに香りの豊かな豆を選ぶ道もあります。
原材料表示の「香料」で香料付きかを見分ける
香料付きかどうかは、袋の原材料表示に「香料」と書かれているかで見分けられます。食品表示のルールで、香料は添加物として表示することが決まっているからです。
「コーヒー豆、香料」とあれば香料付き、「コーヒー豆」だけなら香りはすべて豆由来です。同じ欄に「砂糖」や「乳製品」が並んでいれば加糖タイプなので、甘さを控えたい人はここも確かめておきます。
通販で買うときは、商品ページの原材料欄で同じ確認ができます。表示が見当たらない場合は、注文前に店へ問い合わせておきましょう。
初めてならドリップバッグや少量から試す
初めてのフレーバーコーヒーは、ドリップバッグや100g前後の少量から試すのがおすすめです。香りの好みは飲んでみないと分からず、開封後は香りが抜けやすいからです。
| 形状 | 向いている人 |
|---|---|
| 豆 | フレーバー専用のミルを用意できる人 |
| 粉 | ミルに香りが移るのを避けたい人 |
| ドリップバッグ | 1杯ずつ香りを試したい人 |
| インスタント | お湯を注ぐだけで飲みたい人(加糖品に注意) |
まず表示を確かめて少量を買い、気に入ったら同じ商品を大きい袋で買い直すと、外れを引かずに済むでしょう。
ドリップバッグは、温度計やスケールがない旅先でも手軽に淹れられる形です。浅煎りの粉15gなら、お湯は240〜250g(粉1に対してお湯16倍ほど)が目安です。比率は豆や焙煎度で変わるので、味を見て調整してください。
香料なしで香りを楽しむなら浅煎り〜中煎りのシングルオリジン
香料を使わずに香りを楽しみたいなら、浅煎り〜中煎りのシングルオリジンを選ぶのが近道です。焙煎が浅いほど、産地ごとの果物や花の香りが豆に残りやすいからです。たとえば当店の浅煎りのルワンダ(商品名「浅煎り ルワンダ ニャルシザ Lot.1」)は、香料なしで八朔や金柑のような果実味と、ブラウンシュガーを思わせる甘さが広がります。
選ぶときは、商品ページのフレーバー表記から好みの香りに近い豆を探します。キャラメルやナッツの甘い香りが好きなら中南米の中煎り、ベリーや柑橘の香りが好きならエチオピアやケニアの浅煎りがおすすめです。
香りは焙煎から日がたつほど弱くなるため、焙煎日が新しい豆ほど表記どおりの香りを感じやすくなります。2〜3種類を飲み比べると、自分が好きな香りの方向がはっきりします。
香りのいいコーヒーを試すならKOTARO COFFEEにお任せ
「家で淹れると、カフェで飲んだ味と違う」「浅煎りが異様に酸っぱい」。どちらも、店主がKOTARO COFFEEを始める前に抱えていた悩みでした。
KOTARO COFFEE ROASTERは、北海道札幌市を拠点に、実店舗を持たずオンラインで豆を届ける焙煎所です。香料付きのフレーバーコーヒーは扱っていません。そのかわり、香料なしで果物や花の香りが楽しめる浅煎り〜中煎りのシングルオリジンを中心に、常時6〜10種類ほどの豆をそろえ、インフューズドなど特殊な精製の豆も扱っています。注文を受けてから焙煎し、全国へ送料無料で直送しています。焙煎大会「Japan Roasting Winner Cup 2024」では、Innovative部門で日本9位に入りました。
- まずは1杯ずつ試したいなら、ドリップバッグコーヒー
- 焙煎による香りの違いを知りたいなら、2台の焙煎機(aillio・kaleido)で焼き分けた焙煎機違いの飲み比べセット
- 毎月ちがう産地を試したいなら、どう焼いたかの記録(プロファイルシート)付きの定期便(45g・月1種類)。焙煎機ごとにaillio版とkaleido版があり、迷ったらどちらか一方から始めれば十分です
- 産地や焙煎度から選ぶなら、KOTARO COFFEE オンラインショップ
豆・粉・ドリップバッグを購入した方には、おすすめの湯温や、ときには挽き目も書き添えてお届けしています。淹れ方に迷ったら、Instagramのメッセージで「この豆はどう淹れるのがいいですか?」と気軽に聞いてください。同じ質問は実際によく届いていて、いつでも歓迎です。
フレーバーコーヒーに関するよくある質問
まとめ
フレーバーコーヒーとは、焙煎後の豆にバニラやナッツなどの香料で香りをつけたコーヒーです。甘いのは香りだけで、ブラックなら砂糖もカロリーも普通のコーヒーと変わりません。
スペシャルティコーヒーの「フレーバー」は豆本来の風味で、インフューズドコーヒーは精製の段階で香りを加えたコーヒーです。店頭では、原材料表示の「香料」で香料付きかを、「砂糖」で加糖かを見分けられます。
甘い香りを気軽に楽しみたいなら、バニラやヘーゼルナッツのフレーバーコーヒーをドリップバッグや少量で買うのがおすすめです。豆そのものの香りを知りたいなら、浅煎り〜中煎りのシングルオリジンを2〜3種類飲み比べるところから始めてみてください。
